「嘘だろ…」

私の口からでたのはそんな一言だった。
そして、奴はそんな一言でさえも機嫌を悪くする。

「あ?なんだよ、俺が翼の家に来ちゃだめなのか?あ?」

奴は靴を履きかけている私を睨みつけながら、図々しくも私の家に入り込んできた。
…やってしまった。来てしまった。
私は初めて寝坊したことを悔やんだ。
ズカズカと奥に進み、奴は荒々しくソファーに座った。

「ハァ。準備しなくてよかったんじゃん。」

思わず愚痴をこぼした私は、ハッと奴を見ると奴は黙って私を睨みつけていた。
あー、もぉ。めんどくさい。
そんなふうに思いながらも私は靴を脱いでキッチンに向かった。