陸の事なんて何も気にしずに、ただただ感情をぶつける私は気づいたらまた煙草をふかしていた。

「翼、吸いすぎ…。やめろよ煙草。」

陸は突然小さな声でそう言いながら、煙草を持つ私の手を掴んだ。
びっくりした私は、イライラなんて吹き飛んでて…何故か哀しそうな顔をしている陸を見つめていた。

「なんでそんなに哀しそうなの…」

私は自分の思うまま言葉にしていた。
陸は笑顔にならない笑顔を見せた。
私の手を掴んでいた手は、私の頭の上に来て、その手は優しく私の頭を撫でた。

「翼が煙草吸ってるとこ、綺麗っつーか、かっこいーけどさ…お前身体強くないんだから、自分で傷つけんなよ」

陸は…優しかった。

「なんで?なんで組なんか入ってるの。なんで教えてくれないの。いつも一緒に居るのに、近くに居たのに…なんであんなに突き放してたの?陸は…どうして…」

優しい陸にはやっぱり甘えてしまう。優しい陸の前だと自分が抑えられない、子供みたいに…涙と感情が溢れ出してくる。

陸…陸…こんなに近いのに、遠く感じるのはなんでなの?


「ごめんな、翼。」


そう言う陸がどんな表情をしていたのか涙で私は見えなかった。