「他にはねーの?聞きたいこと。」

陸の優しさに触れれば触れるほど、懐かしくて温かくて、私は陸に染まっていく。
だけど、それに反して今までの陸を全く知らないという孤独感や不安にも満たされる…

「なんで陸はそんなに私をまもってくれるの?」

答えはなんでも良かった。なんて言われても傷つかない自信があった。
ただただ、私はその答えがほしかった。

「…本当のお前知ってる奴なんて俺だけじゃん。俺以外にお前は自分を見せねーから。だけど、お前は俺には自分をさらけ出してくれるから。」

陸は少し小さな声で言葉を紡いだ。
そして、さっきよりも少し優しい声で

「お前は俺の一人の家族だからな。」

そう言ってくれた。
あぁ、変わっていない。陸は変わってなんかいない。私はなんて馬鹿なんだろう。…陸が冷たいわけない。こんなに温かい人が変わるわけないんだ。

「俺が偉そうなのも、お前のため。今俺、蒼井組なんだよ。組長に庇ってもらった日、俺は強くなりてぇって思った。この人みたいなにデカい男になりてぇって。それで、頼み込んで入れてもらった。」

「は?」


話しの急展開に私はまたもや、頭の中がてんやわんやしていた。