聞きたいことは沢山あった。
噂ってなんなのか、なんで私のためにそんなことしてくれてたのか、陸は…昔のままの優しい陸だったのか…
なのに、出た言葉は…一番気をひかれてしまったのは…


「最強の男…?」


それだった…


「最強の男。翼も聞いたことない?"king"って奴。」

ードクン
胸が高鳴った。kingという言葉に…何故か私の胸は高鳴っていた。
…最強の男、king。勿論聞いたことはある。このあたりでは知らない人は居ないくらい有名な蒼井組の組長だから。

「蒼井組のー…?」

何故か私の鼓動は早く、体温は一気に上がっていた。何故だか分からなかった。
ただ一つ分かったのは…惹かれているという事だけだった。


「そう。蒼井組の7代目組長、蒼井翔(アオイ ソラ)通称"king"。荒れ果ててた俺の事を救ってくれたんだ。宛もなく、ただひたすらに探し回ってたんだけどさ、俺。周りから見たら、ただ喧嘩ふっかけ回してるようにしか見えなかったみたいで、警察に捕まりそうになったんだ。その時に俺の事庇ってくれた。…すげぇ、優しんだよ。」

…陸の目は今までにないくらい輝いていたけど、私の頭には疑問しかうかばなかった。
頭の整理がつかない私はただただ、ボーッと煙草をふかしながら輝く陸を見つめていた。