それから私は泣き続けた。昔のように陸に抱きつき、大声をあげながら泣いていた。
その間、陸はずっと私を温かく包んでいてくれた。
その温もりが懐かしくて、落ち着いて、気付いたら涙は止まっていた。


「落ち着いた?翼。」


優しい陸の声に、私はすぐにうなづいた。
ダメだな…ほんとにこの声に私は弱い。

「翼、俺さ中学の時から荒れてたじゃん?…」

突然陸は何かを語りはじめた。

「あの頃さ、丁度翼の変な噂がすごい流れてて、何回も発信元を潰そうとしたんだけどさ、俺弱くていっつも負けてたんだよ。」

…少し陸の顔は哀しそうな顔をしていた。

「だけど、あの日に出会ったんだ。」

「…だれに?」



「最強の男に。」




哀しそうな顔をしていたはずの陸の表情はいつの間にか力強くなっていた。