「え?…」

突然過ぎて私は頭がついていかなかった。
だから、陸に抱きしめられてるという事に気づくまでに時間がかかった。…

「り…く?」

やっと口から出た言葉はソレだった。
昔の陸みたいに温かくて、優しいその温もりにずっと包まれていたい。なんて、バカみたいなことを私は考えていた…。


「悪かった。ほんとに、翼…ごめん。」


陸の言ったその一言のせいで私の目からは涙が零れた…。


ー謝ってくれたことではなく、温もりでもなく、ただその声が優しかったあの頃の陸のこえだったから。