「…さん、…お客さんっ」




誰かがあたしの肩を揺さぶり声をかけているようだ。




「…んん、?」




あ。寝てたのか。




「お客さん、もう夜になりますよ。雨も降ってきたみたいだし」


そう言ったのはここの店長。

50代か60代程の優しそうな男性。

まあこんなに毎日通い詰めていたら顔見知り程度にはなるよね。


「あ…、すみません。ありがとうございます」


まだはっきりとしない意識のなか答える。



外では確かに雨の音がしている。






…帰るか。