花月は窓辺に寄りかかった。
そしてまた儚い目になり遠くの空を見上げる。

……仲良くなるためには、まずお互いの事を知らないとな……。
「は、花月はさ、好きな人とかいねーの?」
「いないよ。」
「即答っすか。」
俺が言い終わるのと同時に答えられた。

「言ったじゃん。信じてないもん。人の言葉、気持ち、自分の気持ち。」

また、花月はそんな事を言い出した。
どうして、こんなに人を信じないのだろうか?

「花月はさ、前からそんなに人を信じてないのか?」
花月のことで今一番知りたいこと。
「違うよ。」
花月は空を見上げたまま俺の質問に答えてくれた。
「じゃあ、なんでそうなったんだ……?」

俺がそう尋ねると、花月は表情を曇らせた。

「あ、やっぱ、答えなくていい。」
答えたくない、そんな顔をしていた。
「……うん」
「花月は人を信じたいって思った事ないのか?」
「……あるよ」
「じゃあ、なんで信じないんだ?」

花月はなかなか答えてくれない。
俺の手には汗。どこまで触れていいのだろうか。

「――信じてたのに、裏切られたら、どう思う? 私は悲しかった。だから、信じない」

“悲しかった”――?

花月には、きっと何かあったんだ。
信じることが嫌になるくらいの何かが。