君がくれた世界

「ごめんね。お姉ちゃんや里玖の事なんて考えてもいなかった。この状況で2人が帰ってきたって、楽しくないわよね。舛里だって、居ても楽しくなかったでしょ?」
私の前で膝をつくお母さん。
泣いていた。

「お母さん……」
つられて私まで泣きそうになる。
いや、泣いていた。
お父さんの手が私の頭を撫でる。
「……ごめんな」
一言、そう言った。

そして、芦田に問いかけた。
「君、名前は?」
「あ、芦田光です」
突然の質問に戸惑う芦田。
「ありがとう、芦田くん」

「いや、俺、なんもしてないですから」
無邪気に笑う。
「芦田、そろそろ私達はお暇しよっか」
優がそう言うと、お母さんは2人に歩み寄り言った。
「芦田くん、優ちゃん、本当にありがとうね」
お母さんはにっこり笑っていた。

一瞬。
一瞬だけど、芦田と優が、里玖とお姉ちゃんと重なった。
2人が私に救いの手を差し伸べてくれた。
そう思えた。

「――それじゃあ、お邪魔しました」

2人はそう言って帰っていった。