君がくれた世界

お母さんは隣の和室でテレビを見ている。
リビングにもテレビはあるのに関わらず。
お父さんは多分自室かな……。

「お母さん……」
私はそっと襖を開けた。

「なに? 集金? それとも、テストか何か?」
こちらには顔も向けてくれない。
「ううん、そんなんじゃないんだけど……」
なかなか言い出せない。
仲良くしよう? そうしよう。
……なんて、そんなに簡単にいくはずがない。

「じゃあ何?」
少し苛立ちの色を見せるお母さん。
声で分かる。
「……リビングで、テレビ見ないの……?」
これだけの台詞。
心臓がばくばくいっている。
「お父さんは?」
お父さんがリビングに行くなら、絶対に行かない。
そう聞こえた。
「多分、部屋、だと思うけど……。どうしてお父さんを避けるの?」
――やっと言えた。
「……」
でもお母さんは応えてくれない。
「ねえってば!」
「もういいでしょ! そんなくだらない用事なら、もう、向こうに行って!」
そう言ってお母さんは強引に私を部屋から追い出した。

私は仕方なくお父さんの部屋に向かった。