君がくれた世界

――あの高さから飛び降りたのに、私は死ねなかった。
骨折だけだった。
どうして?
なんで?
どうして会わせてくれないの?

意識を取り戻したとき、真っ先に視界に入ったのはお母さんだけだった。
お父さんとお母さんは、入れ違いに私のお見舞いに来てくれた。

そのたびに2人共が言った。
「これ以上、家族を減らさないで」

――待ってよ。
そんな事言うなら、私がこんなことしないような環境に戻ってよ。
5人家族のときみたいな光景に戻ってよ。
3人だったら前のようにはできないの?
飛び降りようとした私だけが悪いの?

そして、退院。
結局、お母さんとお父さんが一緒にお見舞いに来てくれることは無かった。
でも2人とも2日空けずに来てくれた。
2学期からまた私は復学。
何も知らないみんなは、私にいろんな冗談を浴びせてきた。
私は笑顔で答えた。
病気だと思ってくれているほうが都合がよかった。

放課後、優を待っているときに、目の前で一人の男子が転げた。
懐かしい感情がこみ上げてくる。
あの頃、幼かった私と里玖が、じゃれているみたいだった。
昔の私達を見ているみたいで、懐かしかった。

後日、その男子は私に問いかけた。
「花月ってどんな奴?」
真剣なまなざし。
決して馬鹿にしていない。
この人なら、分かってくれる気がした。

だから、私は今、全てを話した。