君がくれた世界

不安がよぎった。
心臓の鼓動はどんどん速くなっていく。

私は先生に事情を説明すると、すぐに病院へと向かった。

「――お父さんっ!」
「舛里、落ち着いて聞いてくれ。試合は勝った。で、帰ってきていたんだ。」

お父さんはそこで言葉を切ると、大きく息を吸い込んで、とんでもないことを私に告げた。

「でも……、帰る途中、父さんの車にな、トラックが突っ込んできて、母さんと里玖が……」
今にも泣きそうな声だった。
お父さんのこんな声と表情はあの時以来だ。

「……、ま、また、居なくなるの……?」
声が震える。
よみがえる。
今では思い出すことも少なくなったあの時の記憶が、鮮明に。

「大丈夫だよ。今、手術しているから、きっと助かるさ」

お父さんそういった矢先、看護婦さんが私達を呼んだ。


――手術で助かったのは、お母さんだけだった。
いや違う。
里玖は手術なんてしていない。
里玖は病院に運ばれてきた時点で、既に息をしていなかった。

そして今回も、お父さんは最初から分かってた。
里玖は即死だった。
救急車が来る前に、既に息を引き取っていた。


――また、噓をつかれた……


こうして、私の姉弟はいなくなった――