君がくれた世界

私が一人でお見舞いに行った晩、様態が急変したんだって。

その後私はお姉ちゃんの病名を知った。
でも、小さかった私は病名を聞かされても、覚えておくことはできなかった。
今更、お母さんやお父さんに聞くこともできない。

お姉ちゃんはただの貧血じゃなかった。
違う。元々貧血なんかじゃなかった。
お姉ちゃんは、“病気”で倒れた。

お母さんも、お父さんも、お姉ちゃん自身も分かってた。
私と里玖以外は分かってた。

お姉ちゃんが長くないこと。
倒れた時点で、病院に入院した時点で、もう最期が近いこと。

なのに、何も知らない私達に笑顔で接してくれた。
お姉ちゃんはおなかを抱えて笑ってくれた。

あの時、お母さんが泣いたのは、私が気の利く子になったからじゃない。
きっと、あのやり取りが最後だって、分かっていたから。


お姉ちゃんの噓つき……。
家に帰るって言ったのに。
最後だって分かっていたら、もう会えないって分かっていたら……。
もっといろんな話をしたし、もっと何かやってあげられたのに……。

なのに、なのに。


どうして死んじゃったの……?
どうして何も言わないでいなくなっちゃったの……?