次の日、私は学校帰りに、お姉ちゃんの病室に一人で行った。

「お姉ちゃーん」
「あ、舛里」
「舛里、一人で来たの?!」
病室のドアからひょこっと顔を出した私を、お姉ちゃんとお母さんが迎えてくれた。

「はいっ!」
私は病院の近くにある花屋さんで、お姉ちゃんの大好きなカーネーションの花を買ってきた。
「……舛里……、ありがとう」
葉菜を受け取ったお姉ちゃんは笑顔で笑った。
けど、お母さんは何故か泣いていた。
とても不思議だった。
「お母さん? なんで泣いてるの?」
心配してお母さんの顔を覗き込む。
「舛里も、気が利くんだなって思うと、嬉しくて……」
「お母さん、ひどーいっ!」
私は頬を膨らませて怒りを表現した。

そんなやり取りを見て、お姉ちゃんはおなかを抱えて笑ってた。

「――じゃあ、またお見舞い来るからね! 早く、家に帰ってきてね!」
そう言うと、私は病室を後にした。
私が病院を出てからも、お姉ちゃんは私が見えなくなるまで手を振ってくれた。


――その後、お姉ちゃんは家には帰ってくることは無かった。