君がくれた世界

次の日、花月は学校にちゃんと来た。


「また入院したかと思ったよー」
「大丈夫かー?」
花月は教室に入ってきた瞬間、みんなに囲まれていた。
やっぱり、花月はみんなに人気がある。
花月のことが嫌いな奴なんて、なかなかいないと思う。

なのに、外山と俺以外に踏み込めている奴がいるのか…?

俺だって、気づいて踏み込んだわけじゃない。

俺があの日、花月に惹かれなければ、今の俺の関係はない。
きっと、あいつらと同じかそれ以下だ。
それだけ、花月の演技は上手かった。

「あの、2人とも……」
花月が気まずそうに俺らに声をかけてくる。
「?」
「なーに、舛里」
俺も戸山も笑顔だ。
「昨日は、ごめん。そして、本当にありがとう」
深く頭を下げた花月の顔はとても悲しそうな顔だった。

「それにしても、花月の家綺麗だったよな」
俺はわざと明るく振舞った。
その話は少なくていいはずだ。
これ以上、曇った顔は見たくない。

「そうかな? ありがと!」
花月が笑った。
俺の心も少し軽くなった。
戸山もちゃんと笑ってる。
「やっぱ、花月は笑ってる顔が一番かわいいな!」
俺は何も考えず、思ったままのことを言った。

花月の顔が戸惑っているように見えた。
戸山も目を見開き、そのあと笑いを堪えているように見えた。

俺も後から、自分の言った言葉を理解し、戸惑いかつ、少し頬が赤くなった。
……俺、今、どさくさにまぎれて何言った?
かわいいっつた?!
いやいやいや、ばれるだろ、完全アウト!

「あ、いや、笑ってる顔が一番似合っているという意味で……」
必死に誤解を解こうとする俺。
いや、かわいいっていうのに間違いはないけど、今はばれて欲しくなかった。
「ははは、ありがと」
花月は照れ笑いを受けべる。
ふと戸山に目をやると『何やってんだ、コイツら……』みたいな目で俺を見ていた。