――花月の自殺未遂が2度目……?

「え……」
どういうことだ?
2回目? 自殺未遂が?
「6月あたりだったっけ? 舛里、入院したでしょ?」
「あぁ」
何故入院したかは知らない。
病気だと思ってた。
けど違ったのか。
「あれ、飛び降りの骨折が原因なの」
戸山は前を進んでいて表情はわからない。
「と、飛び降り……?」
今回よりも全然悲惨だ。
生きてるほうが奇跡じゃないのか……?
花月にはそこまで死にたいことがあったのか……?

「学校の屋上あるでしょ。あそこから飛び降りたの。でも、3箇所の骨折で入院。夜、警備員さんが見つけたんだって」

淡々とした口調で続ける戸山。
それを全部知ってて花月と接していたのだろうか。
どんな気持ちだっただろうか。
オモテの笑いを続けて生活する花月を見て。

「……。ず、ずっと、死にたいって思ってたのか……?」

「うん」
その声に迷いはなかった。
花月はずっとずっと戸山に訴えてたのだろう。
戸山も花月の事情を全部知ってて……。
本当にどんな気持ちで過ごしてきたのだろう。

昔の俺は勘違いしてた。
花月は、ただ、いつもバカ笑いして、悩みもなく毎日を過ごしていると思ってた。
でも、180度違った。
花月は毎日明るく“振舞っていた”だけだ。
それをみんなが気づかなかった。
全てを知っていた外山を除いて。