『ホントに芦田には色々話してるね。やっぱり、信用しているんじゃない…?』
最近、舛里はよく芦田の話をしてくれる。
『わかんない』
舛里はそう言うけど、芦田の話を私にしてくれているあたり、やっぱり信用しているんじゃないかなと思う。
そんなこと口に出すと、舛里は否定するだろうから黙っておくけど。

『でもさ、芦田にそこまで自分の事はなすってことは、芦田と何かあったの…?』
なかなか心を開かない舛里が、あんなに自分の事を話してる。

『別に何もないよ。でもね、初めて話しかけてくれたとき、“どんな奴?”って単刀直入に聞かれて、なんだか嬉しくてさ、少し心開いたのかもしれない』
『そっか』
舛里は少し嬉しそうだ。
嬉しそうに他人のことを話す姿。
私も嬉しかった。

『……だから、今日のは少し悲しかった』
そう言って歩幅をせまくする舛里。
『うん……』
『“飽きないくらいの事する”って言ったのに、あっちから離れていちゃった。初めて優意外の人であれだけ本音で話せる人ができたと思ったのに……』

『舛里……』
『やっぱ、私の話は重かったのかな――』
舛里の顔は泣きそうだった。

「――あの後、舛里とは別れたけど、やっぱりどこか寂しそうだったよ。」
言い終えると、戸山は花月の席に目を向けた。