【完結】セ・ン・セ・イ

「朱莉ちゃん、こいつ英文科の白石裕也。後で見に行くサークルのメンバーで……一応、塾の先生」

後ろにいる朱莉に首だけ回しながらそう紹介しているところに、裕也の邪魔が入る。

「ちょ、一応って何!」

「だってお前、先生らしからぬ言動が多いんだよ」

軽くあしらって席にトレーを置き、隣に朱莉を促そうと振り返って見上げ――、警戒心を露わにした彼女の脅えた様子に、思わず吹き出しそうになった。


「大丈夫、いくらなんでもいきなり噛みついたりはさせないから」

安心させようと思って吐いた言葉は何故か田澤少年にウケたようで、止してくれればいいのに木嶋が

「白石くんが変なことしようとしても、進藤くんが守ってくれるから大丈夫だってぇ」

とおかしな解釈を付けてきたので、いよいよ少年の笑い声はフロア全体に響き渡るほど大きくなってしまった。

これで朱莉の警戒はほどけたようだけど、今度は周りの注目を浴びて仕方ない。


「隼人、てめぇ俺の扱い雑過ぎるぞ。チーズケーキの恩がなかったら生徒の前で恥ずかしいことバラしまくってやるところだ」

何だチーズケーキって。

それ以前にバラされて困るような恥ずかしいネタを掴まれた覚えはない。

俺のヌルい扱いよりも、未だに笑い続けている田澤少年の方を責めてもらいたいものだ。


「つーか裕也、まさかそのチーズケーキ」

「あ、返そうと思ってテーブルに置いといたお釣りをねー、使われちゃったぁ」

へへー、と悪意のない笑いを浮かべる木嶋の言葉に脱力。

一体何故裕也にまで奢らされてるんだ俺は。