【完結】セ・ン・セ・イ

2人の生徒の質問をいっぺんに処理し同時に興味を惹くことの出来る木嶋こそ、教師に向いているように思えるのは気のせいか。

朱莉はチャペルと聞いて既にそわそわし始めたし、田澤少年の聴講に対する反対意欲もなくなったようだ。


結局事は木嶋の提案通りに進み、朱莉は恐らく彼女の予想を超えたであろう立派なチャペルに珍しく感嘆の声をあげ、田澤少年は西洋建築をファンタジーの世界観に結び付けたようで独自の視点で聴講を楽しんでいた。


何から何まで木嶋のリードに任せて俺はその一団にただ同行するだけで、いつの間にかランチタイムを迎えたわけだ。

学食のあるA棟まで来ると、ここでも木嶋が

「がっつり定食食べたきゃ1階、ハンバーガーとか軽食は2階で売ってる。席は自由で1階で買ったのを2階で食べてもいいし、季節によるけど外のテラス席も人気」

とてきぱきと説明をしてくれる。

楽ではあるが、ここまで何もしないと少しばかり自信喪失だ。

「あとG棟横の購買でも普通のコンビニ程度の食糧なら買えるし、敷地の反対側の端っこにはカフェテラスがあるよ」

まあそのカフェには行ったことがないんだけど、と木嶋は付け足した。

そのあたりは社会学部のテリトリーで、カフェは福祉学科の女子生徒の巣窟という噂だ。

なんだか嫌なイメージを植え付けるその噂故に、俺も足を運んだことはなかった。


さっさと学食の1階に狙いを定めた田澤少年に対し、朱莉は一息に説明されてやや戸惑っているのが窺えた。