【完結】セ・ン・セ・イ

タクシーが大学に到着し、先に待ち構えていた木嶋たちと合流して校内案内がスタートする。

はじめの内は物珍しそうにキョロキョロと落ち着きなく辺りを見回していた少年は、15分もすると早速飽きが来たようだ。


「なあ、フットサルまだ?」

「何言ってんの、サークルは午後からよ」

と木嶋が呆れ顔で諭している。

「少……田澤くんの目当て、フットサルなの?」

「だって俺別にこの大学志望じゃないし、まだ1年だからあんま興味ないっす」

それはまた、随分と無理やりに引っ張り出してきたもんだ。

木嶋の表情を窺うと、視線に気付いた彼女はペロリと舌を出した。


「ね、じゃあさーあと教会だけ見たら、西洋建築学の聴講行こうよ」

するりと話をすり替える木嶋のこの言葉に、

「教会?」

「聴講?」

朱莉と田澤少年が同時に反応を示す。

台詞が被ったために一瞬お互いを見合った後、

「学校内に教会があるんですか?」

「授業とか興味ないって、勘弁してよ先生!」

続いた台詞は、また同時だった。

仲良しねぇ、と木嶋がひとしきりからかい笑ってから、

「一応ミッション系の大学だからね。クリスマスイベントとかもあるし、大学のチャペルで結婚式を挙げる卒業生カップルもいるのよ」

と朱莉に、

「西洋建築学は人気の講義よ、あんたは多分好きだと思うけどなー。それともこのまま学校中歩き続ける?」

と田澤少年にそれぞれ回答した。