「おはよう。じゃ、行こうか」
はい、と行儀よく返事をした彼女は、
「お母様、行ってまいります」
お嬢様らしく猫を被った挨拶をしてから外へ踏み出し――、真っ白なレースの日傘を上品に開いた。
母親が引っ込んで玄関のドアが閉まったのを確認してから、我慢していたセリフを吐き出す。
「日傘かあ。やっぱりお嬢様だね、そういう所」
……訂正、我慢している間に俺なりにかなり噛み砕いたセリフを吐き出した。
元は『日傘かよ! 猫被ってても結局お嬢だなお前!』だ。
「日焼けと家柄は別問題でしょ」
朱莉がツンと前を向いてすたすた歩くので、慌てて横に並んだ。
どうやらお嬢様と言われるのは気に入らないらしいが、日傘なんて差してる女は大学でもほとんど見ないし、炎天下のフットサル場で活動しているサークルメンバーなら尚更焼けてなんぼみたいなトコがある。
やっぱり、俺としてはそいつはハイソサエティアイテムだ。
彼女は真っ白な膝上丈のシャツワンピに薄手の赤いカーデを羽織って、夏らしい涼しげな籠バッグを提げている。
いつもより少しだけ大人っぽく見えるのは服装のせいなのか、それとも――。
「今日……もしかして化粧してる?」
傘の下を覗き込んで確認すると、驚かせたのか彼女は声にならない声をあげて身体を引いた。
そうか、化粧のせいか。
はい、と行儀よく返事をした彼女は、
「お母様、行ってまいります」
お嬢様らしく猫を被った挨拶をしてから外へ踏み出し――、真っ白なレースの日傘を上品に開いた。
母親が引っ込んで玄関のドアが閉まったのを確認してから、我慢していたセリフを吐き出す。
「日傘かあ。やっぱりお嬢様だね、そういう所」
……訂正、我慢している間に俺なりにかなり噛み砕いたセリフを吐き出した。
元は『日傘かよ! 猫被ってても結局お嬢だなお前!』だ。
「日焼けと家柄は別問題でしょ」
朱莉がツンと前を向いてすたすた歩くので、慌てて横に並んだ。
どうやらお嬢様と言われるのは気に入らないらしいが、日傘なんて差してる女は大学でもほとんど見ないし、炎天下のフットサル場で活動しているサークルメンバーなら尚更焼けてなんぼみたいなトコがある。
やっぱり、俺としてはそいつはハイソサエティアイテムだ。
彼女は真っ白な膝上丈のシャツワンピに薄手の赤いカーデを羽織って、夏らしい涼しげな籠バッグを提げている。
いつもより少しだけ大人っぽく見えるのは服装のせいなのか、それとも――。
「今日……もしかして化粧してる?」
傘の下を覗き込んで確認すると、驚かせたのか彼女は声にならない声をあげて身体を引いた。
そうか、化粧のせいか。


