次の日、サカキを連れて近所の公園に散歩に出かけた。
風が冷たくなっている。
そろそろマフラーをクローゼットから出しておこうと思った。
「辺り一面秋ですね」
「そうね」
「お嬢様はもみじの葉とイチョウの葉、どちらがお好きですか?」
「銀杏よ。あの珍しい形が好きなの」
「なるほど」
「なんでそんなこと聞いたの?」
見上げると、サカキが微笑んでいる。
「つい先日、リサ様にも同じような質問をいたしました」
サラの目が輝く。
「それで、リサは何と答えたの?」
サカキはワンテンポ置いて答えた。
「イチョウがお好きと」
「おおー!」
「あの形が良いとおっしゃってました」
「そうか、そうか」
サラは何度も頷いた。
「ところで、サカキはどっちが好きなの?」
サカキは微笑んだまま答えた。
「お嬢様と同じイチョウです」


