春になった。
「サカキさん!」
元気な声が廊下に響く。
「どうかなさいましたか?」
「これをリサに届けてほしいの」
そう言って差し出す封筒を受け取ると、優しく笑いかけそれを返した。
「・・・嫌なの?」
「滅相にもございません。ただ、サラ様に届けただけです」
それを聞くと、サラはクスクスと笑い出した。
「相変わらず騙されないのね」
「お陰様で」
サラとリサは今も文通を続ける。
「しかし。わざわざ私を通さなくても良い気がするのですが」
「いーの!これも楽しみのひとつなんだから」
しかし、もうお互いのことは書きつくしてしまった。
「よろしくね」
最近はもっぱら恋の話に花を咲かせている。
完


