サラは部屋を飛び出した。
左側にサカキが見えたので右に曲がった。

気づいたサカキが追いかけてくる。


「さきほど大きな音がしたのですが・・・」

止まる気配のないサラにもう一度呼びかける。

「何かあったのですか?リサ様」

耳に入ってくるや否や、サラはサカキの襟を掴みあげた。

と言っても、サカキのほうが背が高い。
はたから見ると、不恰好だった。

ならば。と、睨み付ける。

「・・・サラ様?」

サカキの戸惑った表情にサラは笑った。


「なるほどね」

そうして俯いた。

「今まで、あなたのわたしを見る目が不安でしょうがなかった。でも、やっとわかった・・・」

もう一度、彼をしっかりと見つめた。

「あなたが見ていたのはサラという人の中にいるリサだったのね」

「・・・・・・・」


サカキの口元が所在無さげに動いた。
それだけで充分だった。

「・・・話して。何でわたしがここにいるのか。何でわたしとリサが文通をしているのか」

サカキは頷いた。

「わかりました」