その様子を息を切らしながら眺めた。
「わたしじゃない・・・」
投げた衝動で切れた人差し指を見る。
「自分じゃない」
そのうちプックリと血が出てくる。
「・・・誰」
サラは引き出しの中を一心不乱に漁りだした。
「誰じゃない!わたしはわたしだ!サラだ!」
見つけなければ。
あるはずだ。
サラだという証明が。
「・・・あった!」
見つけたそれを大事に取った。
「リサからわたし宛の手紙!」
そうだ。
わたしはリサだ!何度も頷いてバイオリンを見た。
そして、気づいた。
ベッドの下に木箱があることを。
「・・・・何?」
分からないままベッドの下から移動させ、蓋を開けた。
「なっ・・・!」
カランッ。
蓋がサラの手を滑り落ちた。
「いやっ・・・」
―嫌じゃない。
頭の中で自分を否定した。
それは続けた。
―それで全て説明がつくじゃない。
―ボーとしている頻度が高い訳。
―これで納得できるじゃない。
―サカキがどこを見て笑っているのか。
―あなたじゃないのよ。あなたじゃないのよ。
―あなたは『偽者』なのよ。
「いやああああああああああああ」
サラは木箱をひっくり返した。
中から出てくるのは『サラからリサ宛』の手紙。
サカキに送ってもらったものが、大事に箱に仕舞われていた。


