最初で最後のセレナーデ





「——でさぁ、あいつ笑ってんだぜ?先輩が怒ってるっつーのに」


「それは馬鹿だな…」



木々の葉も青々しく茂り、これから梅雨の時期に入ると言う五月の中旬。
二人は学校から自らの家へと向かう道の途中で会話を交わしていた。

先輩が怒っているのにも関わらず思い出し笑いをしてしまい、更に怒られてしまったという同級生の話。
これもまた、日常の中に溶け込む一つの風景であった。



「そういえば蒼葉、聞いた話なんだけど、…此処から少し行った所に誰も居ない洋館があるの、知ってるか?」