12年前、柊魅夜は泣いていた。
涙を零して目を腫らすその姿は色で表すと黒すぎる黒。
泣きながら人を見つめるその視線は、幼いながらに底知れない恐ろしさが混ざっていた。

楽譜を手に取れない。
何かに触れることが出来ない。


その悲しさは魅夜を覆い隠す。




痛さと苦しみ、悔しさと恨みに包まれて
魅夜は何時間も何時間も眠った。