最初で最後のセレナーデ




「…さん付けも、君付けも、未だにぎこちないままね」


「……おう」



二人の間で沈黙が続く。
過ぎ行く周りの景色には興味無さ気に、視線は前方に向けたまま移さない。

雨が降るのか、少し曇り気味の空になる。




「また何かあったら言えよ、夜弥。…夜弥さん」


「そうする。…ありがとう、蒼葉…蒼葉くん」



校門が見えて来たところで車のスピードを落として行くと、急いでいるかの様に蒼葉は車のドアを開ける。
時間は八時二十六分。
ぎりぎり間に合ったようだ。