最初で最後のセレナーデ




五分で支度を済ませ、家を出る。
いつもはゆっくり歩く道も、息を切らしながら全速力で駆け抜ける。
ただ、遅刻するしないに関わらずいつもと違っていたのは———




「夜弥…?」




昨日の、女性がいたことだった。



「あら、蒼葉…昨日からよく会うわね」



昨日と変わらない笑みを見せる女性は、一台の白い車を運転していた。
蒼葉に気付くと車を止め、後ろの席を指差す。






「この時間だと遅刻でしょう?乗って行った方が早いわよ」