最初で最後のセレナーデ






「…ただいま」



灰里と別れ、自らの家に足を踏み入れる。
テレビドラマや小説の様に温かい家族の姿は無く、おかえりなどの言葉も何一つ返ってこない。
しかしこれが蒼葉にとっての日常とも言える。

父は幼い頃に交通事故で他界。
母親は———



「頭、痛ぇ…」



あまりにも思い出したくないことを思い出そうとすると、身体は不調を起こすと言う。
蒼葉は自身の頭を押さえた。

警告しているのだ。


思い出すな、と。