サァ、と風が吹く。
「綺麗な人———だな」
「だろ?昔からの知り合いなんだ」
「へえ、聞いたことがないんだけど」
「言いたくなかったしな」
「何だよそれ、寂しいだろ」
灰里がむすっとしながら言う。
今は誰も歩いていない夜弥が向かった道の先を見つめつつ少し困った顔をして笑う蒼葉は、
「あんまり…人に言うもんじゃねえからな」
僅かに声に悲しげな色を混ぜながら歯切れの悪い返事を続けた。
それを見てあまり深入りしない方が良いと察したのか、そうなんだ、と返す灰里もまた疑問を浮かべつつ蒼葉と同じ方向を見つめる。
