泣き顔の練習

「…ごめん修也、私…先帰るね」

「えっ…おい、何で」

「また明日っ!」

私と修也は家が隣で、

毎日一緒に帰っている。

くだらない話も、真剣な話も

親身になって聞いてくれた。

「気にしなければ良くね?」とか

本当に聞いてんのかこいつ!?

って時もあるけど、修也なりの慰めであって。

この人の隣に居れて幸せだなーって思った。

それからかな…修也への恋心に

気付いたのは。

何だろう、やっぱ好きになる瞬間って

分かんないもんだねー笑

なんて思いながら、住宅街を駆ける。

バタンッ

「はー、はー…」

「おかえり綾ちゃん。ご飯…」

「ごめんお母さん!私お風呂入る!!」

「…はい、沸いてるわよ〜」

そう言って優しく微笑んでくれるお母さん。

制服を脱ぎ捨て

その勢いのまま風呂場に入る。

シャーーー

シャワーの音が響く。

「うわああああああ………」

私は、水に打たれながら

泣き叫んだ。