佐伯さん




「俺、今言ったよね?総長“だった”って」


「……は?何だよ“だった”って。意味わかんねぇ」



大きな部屋に妙な緊張感が漂う。


「辞めた。紅総長、暴姫は二代目降りて次に渡した」


「そうなんだよー。享の言う通り。まぁ、まだ正式には変わってないらしいけど」


「だから?そんだけで俺を引きとめたんじゃねぇだろーな?」


「それだけでわざわざ話さないよ」



お得意の、ニヤリという含み笑いを顔に張り付けて言葉を続けた。