佐伯さん




「何しに来たんだお前。冬眠中だったんじゃねぇのかよ」


「冬眠中?笑わせないでよ。陽はバカだからしょうがないんだけどさ。冬眠中じゃなくて、睡眠中だからね」



ニヤリ。

眠そうにしていた顔に笑みが宿る。


「るせぇ、バカじゃねぇよ。バカに見せかけた天才だ」

どや顔をする陽に湊は突っ込む。



「自分で天才なんて言うこと自体がバカなんだよ」


“わかった?”そう言いたげな表情に陽は舌打ちをして黙る。

湊の笑顔の奥に何か黒いモノが見えたのだろう。