佐伯さん





「…凛香さっきから話さないんです」


「何があった」



目を細めて探るように見てくる。

そんなことは気にすることなく、車から高橋くんの姿を探す。



目で探したけれど、もう見当たらなかった。



高橋くんは一体何者なんだ。

手にある傷に、あの赤いピアス。

何となく心当たりはあるが謎だ。
今度調べてみようか。

一度気になると気になって仕方なくなるから。


「蓮、あたしの家でいい」



車の外から蓮の方へと顔を向ける。


「りょーか……って、あそこ凛香じゃなくて俺の家じゃねーの」




そう言った蓮はアクセルを踏み、車はゆっくりスピードを上げて学校を離れていった。