佐伯さん




怪しげに耳元で光った赤いピアス。


それはあの日に見たものと
同じモノだった。


そして後ろ姿に歩き方。あの日とそっくりだった。



咲希に手を引かれ、自然に足が前に進む。強い雨が降る中

黒の車を目指して走った。



「蓮さん、すみません。あたしも乗っていいですか?」


「お~久しぶり咲希。どーぞー」


車のドアを開け、あいさつをしている咲希のあとに続いて乗り込んだ。



「凛香ちゃーん。家に向かえばいいのか?」


話し合いをするだろうとわかっている蓮は、

あえてあたしに問いかける。