佐伯さん




「凛香、ごめん」



あたしの心を読み取っているように言葉を続ける。


「凛香の気持ち、全部わかるわけじゃないけど…辛かったのに。思い出させるようなこと、」


「いいから」



咲希の言葉を途中で遮り、それ以上喋るなと目で訴えた。

ここは教室だ……と。
教室で話すような内容じゃない。




やっと一日が終わり、チラホラ教室から人が出ていく。



ブーブーッ

マナーモードにしてある携帯が鳴り、ポケットから取り出してメールを見る。



『着いたぞー』


蓮からのそのメールを確認して

外にチラッと目を向けると一台の黒い車が見えた。