「咲希って冷めてる時もあれば子どもみたいに無邪気に笑ったりするもあるんだよねー。本当、忙しい人だ」
「……声に出てますけど」
さっきとは違い、冷めた目をした咲希は睨んでくる。
ついさっきのキラキラの目はどうしたんだ。
「わざと声に出したんですー」
そう笑って言えば咲希は、
「性格悪っ」と言ってギャハハと笑う。
それを横目で見ながら蓮に、
『傘持ってくるの忘れたから迎えに来い!』とメールをする。
すぐに携帯が鳴り、『りょ~かい』という蓮らしくいつもと同じ緩い返信がきた。
蓮はいつからこんな喋り方になったのか疑問だな。
携帯から目を離してチラリと咲希を見れば真面目そうな顔をし、一瞬考え込むようにしてから口を開いた。

