数字はあたしの大嫌いな授業。
目が合った時にチャイムが鳴ってくれて助かった。
もし問題解いて、なんて言われたら嫌だからね。
どれだけ教えられても数字はイマイチわからない。
「凛香ー雨降ってきたんだけど。傘持ってる?」
横から話しかけられて咲希を見る。
いつの間にあたしの教室にきたのかわからない。
あたしの机の前に立っていて
どーしよ、という表情をあたしに向けてくる。
「持ってない!」
「そこ、自慢気に言うとこじゃないから」
冷静に突っ込まれてしまい、何だか悲しい。
「どーしよ、濡れたくないんだよね」
外に目を向けた咲希に、
「蓮が迎えに来てくれるから一緒に乗ってく?」
…と言えば小さな子どもみたいに目をキラキラさせ、待ってました!ってくらいの勢いで首を縦に振り頷く。
勢いがありすぎて首がとれるんじゃないかと思ってしまうくらい縦に振るもんだから
笑っていたあたしの顔が若干引きつった。

