佐伯さん


―――――……



ポツポツ。


小さな音をたてて降りだした雨を窓から見る。



あーあ……

本格的に降ってきた。
最悪だ。


まだついさっきまでポツポツだったのに、

徐々に雨の音が大きくなっている。



高橋くんの言った通りだ。



今の時刻は
もうすぐ授業の終わる、午後3時18分。



あたし傘持ってきてないのに。
さらに強くなった雨の音が聞こえて、小さなため息をついた。



蓮にでも頼んで持ってきてもらおうか。
ん~、持ってきてもらうくらいなら車で帰った方がマシだ。



窓から視線をはずし前を見れば、
よくわからない数字が並んだ黒板が目にはいりタイミング悪く先生と目が合ってしまう。



その時
授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。



「授業を終わります」



あたしから目を反らし、先生も雨が気になるのか、窓の外を軽く見てから教室から出ていった。