だからダメだったんだ。 あんたが話しかけるから変なものが流れ出たじゃないか。 心を少し落ち着かせるよう、ふぅーっと長く 息を吐く 傘を持ち直して男を見れば髪が濡れてペチャンコになりかけている。 あたしに傘渡さなかったら自分は濡れずに帰れたっていうのに、バカなやつ…… 雨で濡れた髪の隙間から見える耳に、 何かが光っているのが見えた。 涙で滲んでいたけれど、たしかにアレは ーーー赤色の光を放っていた。 「変な人だ」 そう小さく呟いた声は男に届くことなく 暗い夜道に溶けていった