「俺犬じゃねえからね、待てとか失礼じゃねえの」
「ごめん、悪かった」
これって、あたしが悪いのか?救急車を呼ぼうとしたお前が悪いんじゃないのか!?
「わかればいいってことよ~ん」
何この言い方。何かムカつくな!
わかってほしいのはあたしだ!
「あ、そういえば忘れてた…」
そうだ、忘れてた。
小指事件とアイスのことですっかり忘れてた
あたしは相談しなきゃいけない。
蓮に一緒に考えてもらいたい
お風呂で考えて一応あたしの中でも答えは出た。けれど、その答えでいいのか…蓮に聞かなきゃいけないんだ。
食べかけのアイスにフタをして再び冷凍庫に戻した。これは、また今度食べることにしよう。
「忘れちゃダメでしょうよ」
蓮は今からあたしが何を言い出すかわかったような口ぶりをした。
わかっているんだろうけどさ。
さっきまで頬を赤く染めた蓮はどこにも見当たらなくて、あたしの目の前にいる蓮の顔から静かに笑顔が消えた。
けれど、無表情になった蓮の目は優しくて
あたしの相談を受け止めてくれるお兄ちゃんみたいだった。

