「いったー!」

ひどい。
これは酷い

たんこぶができていないか心配だ。


傘が頭にぶつかったお陰で髪が傘に絡まったじゃないか!


文句言ってやろう。

…そう思って上を向き睨めば
そこに男はいなくて。


あたしに背を向き歩き出していた


あの人は変な上にアホだ。
あたしに傘を渡して帰って行くなんて。

返してくれって頼んできても返さないぞ。





ぽろり、、、
何の前触れもなく溢れだしたモノ
あたしの頬を伝った温かいものは

悲しさからじゃなく。
傘が頭にぶつかった痛さからの涙だと。思いたかった