佐伯さん




あー
もう学校に着いてしまった。


誰かと一緒にいると、時間があっという間に感じる…

早いなぁ。
そんなことを考えつつ
2人でペタペタと学校の廊下を歩く。


あたしの隣のクラスの前で一度止まり、咲希とはバイバイする。咲希と同じクラスじゃないことが今だに悔しい。



少し歩いて教室の前に着き、ガラッと勢いよくドアを開けた。

そして、叫ぶのだ。


「みんな、おはっ………!!!」


その時。
突然何者かがあたしの口を塞いだ


ただあたしは、教室にいるみんなにおはよう。と…
あいさつをしようと思った。


たったそれだけのことなのに、
突然後ろから伸びた手によって口を塞がれ非常に驚く



口を塞がれた…
ということは、つまり。

喋れないというわけで…



途中で言葉が止まってしまった
中途半端のとこで言葉が止まったんだ


『おは』まで言ったのに口を塞がれたせいで
“よう”が言えなかったじゃないか

チッ…
言いそびれたぜ…


「うるさい」

そう一言言い、ヤツは口から手を遠ざける。


後ろを見なくても、口をふさいだ犯人があたしにはなんとなくわかった