悔しかった 哀しかった ほんの2年も一緒に居ない杏奈を、涼はどうして? どうして私を選んでくれなかったの? その想いが一気にこみ上げて、私は呆然とそのイニシャルを眺める。 一筋だけツーっと涙が伝って、それ以降は流れなかった。 まともに涙が流れないほど、私は人間性を失ってきてしまったのか。 あるいは…取られた哀しさよりも、憎しみが強いということか… 再び窓の淵に座って、校庭に目をやる。 もう終わったのか、サッカー部の姿はなかった。 「サッカー部、終わったみたいだよ」