俺が、
茜と大きく関わりを持ちはじめたのは
7月の初め頃だった。
その時、俺は美紅(みく)と付き合って居た。
しかし、うすうすと美紅が俺に恋愛感情を持っていない事に気付きはじめていた頃で
精神的にも不安定な時だった。

そんな時、同じ吹部の後輩である茜と一緒に帰るチャンスが出来た。
俺は、気晴らしにでもと思い、茜と帰る事にした。
しかし、おれは3年生で茜は1年生。
話がはずむ訳もなく、お互いに必死に話を繋いでいる状態だった。
そうしていると、いつしかカッコいいと思う先輩は誰か?という話題になった。

「えー、誰だ? ○○とか?」
といった風にありえそうな人を
ピックアップしていったのだが
まるで当たらない。
「えーっと、もしかして俺とか!?」
と冗談で言ってみたら、茜は首を縦に振った。
もちろん、信じられなくて何度も確認してみたけどやっぱり答えは変わらない。
その日は、平然と帰ったつもりだが
平然としていられるはずもない。
寝る直前まで、心臓の鼓動がよく感じられた。

数日後、7月の8日に俺は告白した。
たった、数日で彼女と分かれる決心がつく程、好きになってしまった。

少し、変わってるかもしれないが
これが俺と茜の最初だった。