そっと瞼を閉じ、そのまま上へと顔を向ける。
見えていないのに、夜空に輝く多くの星が瞼の裏に広がった気がした。
目尻からスーっとこぼれ落ちていく涙が頬を伝う。
「で、何時までいるつもり?」
「後、もう少しだけ……」
もう少ししたら、また明日から笑えるから。
明日からは、笑い話にしちゃうから。
だから、……もう少しだけ生温い風に当たっていたい。
「仕方無いから、俺も一緒に待っててやるよ」
「えっ!?」
彼の言葉に驚きからパチンッと目を開ける。
それに、はあ…っとため息を吐く彼。
そしてボソッと優し過ぎる言葉を落としていく。
「こんな時間に女一人で公園は危ないだろうが」
女一人。
この人にとっては私はペットじゃなくて、女に分類されている。
それだけで、冷たくなっていた胸がぽおっと温かくなった気がした。
「話も聞いてもらったうえにそこまで。なんか、……あ、ありが……」
嬉しくなって、そう言いながら後ろを振り向いた瞬間、……時が止まった。



