そう自分に言い聞かせたのだが、直ぐ様蔑む口調がやって来る。
「馬鹿でしょ。その答え」
あー、もう。
私の後ろにいる男の人は、きっと私なんかより大人の人だ。
だって口調からして、制服を着た私が馬鹿に見えて堪らないって感じだもん。
年上か……。
もういっそ、この誰だか分からない人に甘えてみるのもいいのかもしれない。
こんな夜に泣きながらブランコに座っている女に、話し掛けて来てくれる様な優しい人に。
「だって、……涙が止まんないんだもん。止まるまで家、帰れないよ」
誰だか分からないからこそ、弱音を吐ける。
知っている人だったらこんな事、簡単に口に出来ない。
恥ずかしいって感情の方が先立ってしまうから。
そんな私の気持ちを汲み取ってくれたのか、大人の彼は、
「何で止まらないの?」
と、さっきよりも少しだけ優しい声でそう聞いてくれた。
やっぱり……大人の人だ。
その事に安心感を抱けば、言いたくなかった事もゆっくりとだが言葉に変わる。
「それは、……好きな人に振られたから……」
「ふーん」



