佑真君の方へと顔を向けると、私に白い歯を見せてニカッと笑う。
それに思わずトクンッ!と心臓が音を奏でた。
いつも大人っぽい雰囲気を醸し出している癖して、たまにやっぱり子供の顔を見せる。
それに驚いたから。
「じゃあ俺、帰るから。葉月も帰れよ」
「言われなくても帰りますよーだ!」
大人気もなく、あっかんべーっと舌を出す私に冷めた目を向け「あっそ」と言う佑真君は、また子供っぽさが消えている。
スタスタと去っていく佑真君の背中。
そこに向かって大きく声をあげた。
「あっ、それから。葉月お姉さんって言えっ!」
私の言葉で歩を止めて、くるっと後ろを振り返った佑真君は、まさかのあっかんべー返し。
「絶対に言わねぇ」
佑真君は、もう絶対に私の事を葉月お姉さんとは呼ばない気がする。
私、本当に佑真君よりお姉さんなんですけど……。



