「うるさいなぁ。難しいの!」
小学生のテストと高校生のテストは全然違うんだから!
まあ、小学生の彼に言っても分からないとは思うけどさ。
フンッと鼻を鳴らして少年から顔を逸らした時、パシッと手に持っていた28点のテストが少年の手に引き抜かれた。
そしてじっとそれを見て、1つの答えの箇所を指し示す。
「ここ、大きさだろ。絶対値が抜けてんじゃね」
「えっ!」
少年に言われて良く見れば、確かに絶対値を書き忘れてる。ただの縦線。されど縦線だ。
「本当だ!うっわぁ、勿体ない事した!これが合ってたら30点あったのに!」
「いや、30点も相当ヤバいからな」
「うるさいな、もう。にしても、何でこんな問題分かるのさ?もしかして君、天才児?」
「かもな」
大人びた表情でニヤッと笑う少年。
この少年は本当に、……天才児かも。
「本当に!?それって凄いかも!将来、有名になるんじゃない!あのさ、……」
慌てて、鞄の中へ手を突っ込むとノートを取り出す。
何の科目のノートかも分からないが、そんな事はどうでもいい。



